アンテナ・基地局・移動局〜17.小型化技術
回路・デバイス技術の分野では、集積技術の発達によって各部品のLSI化、HIC化、MIC化、MMIC化が進み、部品の小型化と部品点数の減少に大きく貢献してきました。 移動通信用LSIは、製造プロセスの観点からはGaAs、バイポーラ、Bi‐CMOS、CMOSの4つに、また動作周波数の観点からは1〜3GHzの高周波数帯、10〜200MHzの中間周波数帯、40MHz以下のベースバンド帯に分類できます。それぞれのプロセスの動作周波数には、上限があるため回路に応じてこれらのプロセスを使い分ける必要があります。
MMICは、ガリウムヒ素やシリコンなどの半導体基板上に、トランジスタなどの能動デバイスと、抵抗やキャパシタ、インダクタなどの受動素子回路を一体化させて集積した高周波帯集積回路です。
MMICは、ハイブリッドICなどに比べて大幅な小型・軽量化が可能で、量産性が高く、再現性に優れ、また高集積化もできるなど、多くの長所を備えています。携帯機の構成のなかでは、RF帯・IF帯回路のMMIC化が進んでおり、またカード化の試みなども行われています。
移動通信用LSIの分類 | ||
使用プロセス | 最高動作 周波数 |
適用される移動通信用回路 |
GaAs FET | 60GHz | 電力増幅器 直交変調器 プリスケーラ 電圧制御発振器 |
Si バイポーラ | 3GHz | プリスケーラ 電圧制御発振器 第2中間周波ミキサ 直交復調器 中間周波増幅器 |
Bi-CMOS | 3GHz | 直交変調器 低雑音増幅器 第1中間周波ミキサ プリスケーラ 電圧制御発振器 PLLシンセサイザ回路 |
CMOS | 50MHz | ベースバンド変調回路 復調回路 音声符号器 DSP TDMA制御回路 CPU制御回路(ROM/RAMを含む) オーディオインタフェース回路 マンマシンインタフェース回路 |
1999年3月作成